
腱板がどこにあるのから、ご紹介していきたいと思います。
人の体はいくつもの関節や筋肉・骨で構成されています。
その中で、肩甲骨と腕の骨をつないでいる腱のことをさします。
目次
症状
日中はなんでもないことが多いのですが、夜間突然に肩関節の猛烈な痛みに襲われ発症することが殆どです。
痛みで睡眠が妨げられ、肩関節を動かすことが困難になります。
また、半数に運動時の痛みを生じる場合もあります。
この場合は、激痛というより「あれ?なんだか痛むな」と言った程度の症状が出ることが多いようです。
発症しやすい性別と年代

好発しやすい年齢として、40〜50代の女性に多く見られます。
原因は後に詳しく説明していきたいと思います。
石灰沈着性腱板炎の原因

肩腱板内にリン酸カルシウム結晶が沈着することで、炎症が生じるとされています。
また、その為炎症が生じ疼痛・運動制限が起こるとされています。
なぜリン酸カルシウムがたまるのか
現時点でははっきりとした原因はわかっていません。
その為、石灰のたまり具合と石灰沈着性腱板炎の関係性自体を疑問視する研究者もいるようです。
実際に、症状があるのにレントゲンやMRIを撮影しても石灰があるかないかくらいの蓄積度合いの場合や、反対に明らかに石灰化は進んでいるのに無症状の場合もあるようです。
石灰が沈着する流れ
初めはミルク状の状態なのですが、時間の経過とともに歯磨き粉のような硬さになり、最終的に石膏状になると言われています。
症状がでるタイミングとしては、滑液包内に破れでるときに痛みが現れるようです。
石灰沈着性腱板炎の病期

発症から回復期までの流れを見ていきましょう。
急性期
発症から2週間程度の強い痛みを時期を指します。
この時期が一番症状的にも辛く、痛みの増強に合わせるようにして肩の可動域(動かすことのできる範囲)も狭くなってきます。
慢性期
発症から3ヶ月〜1年の間を指します。
この間に痛みはだいぶ軽快してくる場合が多いのですが、1度狭くなった可動域は元に戻ることはなく日常生活に支障が出る場合があります。
回復期
痛みが取れたことと、先ほど説明した可動域が徐々に元どおりになってくる時期のことを指します。
この時期に、日常生活が元に戻ることが殆どのようです。
治療を開始したいタイミング
状態にもよりますが、何もしなくても1年前後で元の状態に戻る方もいます。
その一方で、治療を開始しなければ日常生活を送ることが困難な方もいるというふうに個人差が大きくなります。
石灰沈着性腱板炎の治療方法
主に二つの方法があります
保存療法
疼痛を伴う急性期の場合、第一選択として保存療法があります。
急性期は炎症の具合が激しい場合が殆どなので、その状態で日常生活を続けてしまうと炎症が悪化する可能性や治癒までに長い時間を要してしまう可能性があります。
三角巾などで固定し安静を図ると同時に、患部に針を刺し固まってしまった石灰を破りまだ固まっていないミルク状の石灰を吸引する治療も行います。
また、痛みや炎症を和らげる目的で鎮痛剤の内服や患部へのホルモン剤注射を行います。
手術
多くの場合、保存療法で軽快するのですが石灰化がひどい場合は炎症が治らないケースもあるので手術で摘出しなければなりません。
術後の経過として、疼痛が取れたら患部を温める温熱療法や患部が固まってしまうことを予防するために、リハビリを導入し弱ってしまった筋肉を強化していくと言った流れになります。
手術をした場合個人差はありますが、平均的にみて2〜3ヶ月では元の生活に戻れるようになります。
まとめ

ここまで石灰沈着性腱板炎について、症状や治療法をご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
中でも説明した通り、根本的な原因が未だ不明ということもあり予防法はないとされています。
しかし、好発年齢や性別がわかっているので肩周囲に痛みや運動制限などの症状が出たらすぐに整形外科を受診することをお勧めします。
レントゲンなどで見つからないケースもありますが、これらの疾患を疑って対処してくれるはずなので、重症化を防ぐことができるかと思います。