もし歩いているときに膝が痛んだり、階段の上り下りなど膝を使う運動をするときに痛みが出てくる人は要注意です。
ではどうして膝に痛みが出るのでしょうか?
様々な原因が考えられますが、主な原因は膝に水がたまっているからなのです。
そこで今回は、何故、膝に水が溜まるのか?原因と症状について案内していきます。
どのようにして膝に水がたまるのか、原因を知りしっかりと対処していきましょう。

目次
膝に水がたまるのは何故?症状は?

なぜ膝に水がたまるのか、まずは膝関節の仕組みを理解しましょう。
膝関節は太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)の間にあります。大腿骨と脛骨が直接ぶつからないようにその間に関節軟骨があります。
この関節軟骨はクッションの役割をしてくれていています。
その周りは関節液という液体に満たされていてこの関節液が漏れないよう関節包、滑膜という組織が関節を覆っています。
内側にある関節液は無色透明で粘り気があり、関節をスムーズに動かすためにはなくてはならない液体です。
また、関節に栄養を送る働きもしており、この関節液は関節液を覆っている滑膜という組織によって作られています。
普段は滑膜が古い関節液を吸収したり新しく作ったりして一定量に保たれていますが滑膜組織に炎症が起こるとこのバランスが崩れてしまいます。
そして関節液が過剰に分泌され、膝に無色透明なはずの関節液が濁り、過剰にたまってしまうのです。
膝に水がたまることで起こる病気

膝に水がたまるのは膝で炎症が起きているからです。
炎症は主に、以下の8つの症状から引き起こされます。
・変形性膝関節症関節リウマチ
・化膿性関節炎
・膝蓋前滑液包炎
・滑膜骨軟骨腫症
・離断性骨軟骨炎
・結核性関節炎
・偽痛風
それでは順番にどのような病気や症状なのか見ていきましょう。
変形性関節症
変形性関節症とはなにか?
まず、大腿骨と脛骨の間には関節軟骨という軟骨があります。
この軟骨は骨同士が直接ぶつかって痛みが出ないようにクッションの役割をしてくれています。
しかし、この関節軟骨は加齢と共にすり減ってしまい、次第に痛みが出てきます。
また、原因は加齢だけではなく肥満気味で体重の重い方はすり減る速度が速くなります。
初期の状態では階段の上り下りや正座をすると膝に痛みや腫れが出てきて、ある程度症状が進行すると関節部分が変形していき、関節部分を曲げられなくなり歩けなくなってしまいます。
関節で炎症が起きているので痛みが出てきて次第に水がたまると腫れの症状として出てくるのです。
関節リウマチ
関節リウマチの特徴はいわゆる「自己免疫疾患」であることです。
分かりやすく説明しますと、私たちの体にはウイルスや細菌が体内に侵入したら攻撃する機能があり、これを免疫機能と呼びます。
この免疫機能が何らかの原因で誤作動を起こして自分の体を攻撃してしまうことで炎症が起こります。
この炎症が自己免疫疾患なのです。
関節リウマチは高齢者に多いと思われがちですが実は30代から増え、50代が発症のピークです。決して高齢者の病気というわけではないのです。
男女比は1:4と女性に多いので30代の女性の方は注意しましょう。
症状は朝方に手足の関節に腫れや痛み、こわばりが出てきますので、もし女性の方で同じような症状が出ているのなら一度整形外科に行って相談してみて下さい。
化膿性関節炎
化膿性関節炎は関節内に細菌が入ることで関節内が化膿してしまい関節軟骨が破壊され、放っておくと骨まで破壊されてしまう怖い病気です。
治療が遅れると正常に関節が動かせなくなったりする可能性がありますので緊急性を要する病気と言えます。
主な感染経路は3つあります。
- 扁桃腺などに侵入した細菌が血液に乗って関節内に届く
- 関節の近くで骨髄炎が起こり、そこから感染する
- 関節の近くでケガをして、傷口から細菌が入って感染する
症状は関節の痛み、腫れはもちろんですが他にも発熱や食欲不振、身体がだるいなど全身に症状が現れます。
化膿性関節炎を放っておくと関節包、滑膜が伸びきって脱臼したり患部から膿が出てきます。
最初にも言いましたが、治療が遅れると関節が変形したり動きに障害が残る可能性がありますのでもし思い当たるものがあればすぐに病院へ行き診てもらいましょう。
膝蓋前滑液包炎
膝蓋前滑液包炎(しつがいぜんかつえきほうえん)とは膝蓋骨の上にある滑液包が炎症を起こすことで痛みが生じる病気です。
膝蓋骨はわかりやすく言えば膝のお皿です。
主な原因は、転んだ時に膝を打ったりスポーツ中の事故などの外傷です。
膝を伸ばした状態で膝の前部が腫れていて熱を持っていたらこの病気の可能性が高いです。
腫れは滑液包内に水が溜まっている場合が多いですが、内出血によって腫れているケースもあります。
安静にしていれば数週間で完治しますが、水や血が過剰に溜まっている場合は病院で抜いてもらうなどの処置が必要になります。
予防としては、膝に負担をかけないことが前提となるためスポーツや重労働をする場合は膝にサポーターやテーピングをするなどの対処をしましょう。
しかし、半月板損傷をしてるケースも考えられますので、痛みを感じたら必ず病院で診てもらうようにして下さい。
また、太りすぎも膝に負担をかける原因となりますので、注意が必要です。
滑膜骨軟骨腫症
滑膜骨軟骨腫症は関節を包んでいる滑膜に腫瘍が出来る病気です。
滑膜にできた腫瘍は次第に多くなり軟骨や骨に変化します。
この軟骨や骨に変化した腫瘍が滑膜から剥がれ落ちて関節内を動き回ります。
この剥がれ落ちた欠片が関節内の細胞を傷つけたり、関節に挟まると動きを止めたりして痛みが生じます。
細胞が傷つけられると水が溜まったりしますので、腫れて痛い場合は病院へ行きましょう。
治す方法は手術によって腫瘍や剥がれ落ちた欠片を取り除きます。
欠片を取り除けばすぐに元通りに動くようになり痛みもなくなります。
離断性骨軟骨炎
離断性骨軟骨炎は先程紹介した滑膜骨軟骨腫症と似ており、腫瘍はできませんが元からあった骨や軟骨が損傷などの原因で剥がれ落ちて関節内を傷つけます。
成長期の子供に多く、男女比は2:1と男の子に多い病気です。
初期症状では運動後膝に違和感や鈍痛を感じる場合が多く、初期の段階では軟骨が傷ついていてこのような症状が現れます。
この症状を放置するとダメージを受けている軟骨や骨が剥がれ落ちて異物となり滑膜動き回り、関節を傷つけたり関節に挟まると関節が動かしにくく、放置すると水が溜まり腫れが出てきます。
滑膜骨軟骨腫症と同じように手術で剥がれ落ちた欠片を取り除くしかありません。
なので膝に違和感を感じたら悪化する前にすぐに病院へ行きましょう。
結核性関節炎
結核性関節炎とは結核菌が血管を通り膝の関節に侵入して炎症を起こす病気です。
結核と言えば肺結核が有名ですが、結核菌は生命力が強く、過去に肺結核を患ったときの結核菌が体内に潜伏していて免疫が弱まったときに悪さをする場合があります。
過去に肺結核を患った人は特に注意が必要です。
初期症状は関節炎特有の腫れや痛みが出てきます。症状が進行すると軟骨や骨が破壊され、関節の変形や剥がれ落ちた欠片が関節内を傷つけます。
さらに、症状が末期になると溜まりすぎた膿が皮膚を突き破って出てきたり、膝関節が変形して後遺症が残ります。
もし過去に結核になったことがある方は細菌検査など詳しい検査が必要になりますので専門医を受診しましょう。
偽痛風
偽痛風は症状が痛風に似ているためこのような名前になりました。
しかし、痛風の痛みの原因は尿酸結晶によるものですが、偽痛風の場合はピロリン酸カルシウムの結晶が原因なので、痛風との関連性はありません。
ピロリン酸カルシウムの結晶が関節内にたまり、関節や関節周辺が赤く腫れて動かせないほど痛くなります。
痛風は男性に多く発症しますが偽痛風の場合は女性に多いと言われています。
ピロリン酸カルシウムの結晶はどうして出来るか解明されていませんので対策はできません。
まとめ

いかがでしたか?
今回は、何故、膝に水が溜まるのか?原因と症状について紹介してきました。
このように膝に水が溜まる原因は様々です。一見して同じ症状のように見えても実は全く違う病気だったりします。
なので主体的な情報で判断はせず、必ず専門医を受診し自分がどのような病気なのか診断してもらいましょう。
早期発見をして病気に合った薬を飲んだり手術をしたりすれば必ず短い期間での完治、改善につながりますので、痛みを我慢せずに治療をするようにして下さい。
もし重症化して水が溜まっている場合でも、細菌が入って悪化する可能性があるので、自分で水を抜くようなことは避け、必ず整形外科で専用の注射器などで抜いてもらうようにしましょう。
また、健康でいるために日ごろから筋力トレーニングをしたり運動をして筋肉を鍛えたりすることも重要です。