
膝関節とは

膝関節とはその名の通り膝にある関節を指します。
読み方は「ひざかんせつ」と読まれることがありますが、正確には「しつかんせつ」と読みます。
膝関節は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(膝下の骨、すね)をつなぐ役割を担っており、一方向にのみしか曲げ伸ばしができない蝶番関節の種類に分類されます。
蝶番関節はドアの蝶番(ちょうつがい)の動きに由来します。
膝関節も本来であれば一方向の曲げ伸ばしのみに動きが制限されているのです。
膝関節捻挫の診断
膝関節捻挫とは、膝関節に外部からの衝撃が加わったり、着地する際に膝が捻じれたりすることで靭帯に何らかの損傷が生じることを指します。
骨折や脱臼などの障害はレントゲンで診断ができますが、レントゲンでは異常がみられない膝関節の障害は「捻挫」に分類されます。
膝関節捻挫の症状

膝関節内や関節周囲の細胞や血管の損傷度合によりますが、捻挫をすると腫れが生じます。
この腫れは損傷を受けた細胞や血管から、細胞液や血液があふれ出すことが原因です。
捻挫をしてそのまま時間が経つと、それらの腫れに加え、損傷を受けた部位を修復するため白血球の働きなどで炎症反応が起こります。
炎症反応の代表的な例は、腫脹(腫れ)、発赤(損傷部位が赤くなる)、発熱(損傷部位が熱をおびる)、機能障害(動かない)、疼痛(痛み)があります。
炎症はじきに引いてきますが、すぐに適切な処置と受診が必要となります。
膝関節捻挫になったときの対応

捻挫を起こした場合、すぐに「RICE(ライス)」処置を行うことが重要です。
RICEとは、R:Rest(安静)、I:Icing(冷却)、C:Compression(圧迫)、E:Elevation(拳上)の頭文字をとった名称です。
RICE処置の手順
①捻挫をしたと思ったらすぐに動作を止め、損傷部位を固定し動かさないようにします。(R:安静)
必要があれば添木やテーピング等を利用して固定します。
②次に安静にしながら損傷部位を冷やします。(I:冷却)
冷却は張れを押さえるだけでなく、細胞の壊死を防ぐ目的もあります。
ビニール袋やアイスバックに氷を入れたりタオルで氷を包んだりして、損傷部位を冷やします。
目安としては損傷部位が冷えて感覚がなくなってきたら一度氷を外し、すこし時間をおいてから再度冷やします。
冷却は72時間ほど継続して行うのが望ましいです。
③次はC:圧迫です。損傷部位周囲の内出血や腫れを防ぐ目的で行います。
テーピングや包帯などで軽めに圧迫するように包み込みます。
テーピングなどがなければタオルや服などで代用することもできます。
④最後に、これらの処置をした損傷部位を心臓よりも高いところに位置するようにします。(E:拳上)
腫れの軽減を目的に行います。
心臓より高い位置に置くことで、血液が損傷部位に溜まるのを防いでいます。
体は床に寝ころび、椅子や台などで損傷した膝の部分を上げておくと楽に拳上ができます。
捻挫をした部位は損傷後すぐに腫れて熱をおびてしまいますが、できるだけ早く、適切にRICE処置を行うことによって、患部の予後が大きく異なります。
膝関節捻挫の原因

膝関節捻挫の原因は、衝突などで膝関節に直接力が加わる場合と、着地の際に膝を捻じってしまう非接触性の力が加わった場合とに分けられます。
損傷時の衝撃によって膝の靭帯が伸びてしまう「第1度」、靭帯の一部が切れてしまう「第2度」、靭帯が完全に切れてしまう「第3度」に分けられます。
膝関節捻挫の原因は様々ですが、何かの衝撃で膝に痛みが生じた、膝がぐらぐらする感覚があるという場合には、膝関節捻挫を疑い、すぐに医療機関を受診することをおすすめします。
膝関節捻挫の予防法

膝関節捻挫の中で、着地時に膝をねじってしまうことが原因の多くにあります。
これはスポーツ中に限らず、普段の生活の中で段差や階段、坂道などでも起こることがあります。そこで、膝関節捻挫の予防法に、正しい着地フォームを身につけることが挙げられます。
膝のねじりというのは、多くは膝とつま先の向きがことなることで生じます。
鏡を見ながら足踏みをしたときに膝とつま先の向きが同じかどうかや、軽くジャンプをしたときの着地やスクワットをしたときに膝とつま先の向きが同じかどうかを確認してみてください。
膝とつま先の向きは自分で確認しようとすると下を向いて普段とは違う姿勢になってしまうため、鏡を使ったり、誰かに見てもらうと正確にみることができます。
膝とつま先の向きにねじれが生じている場合は、早急にフォームを改善する必要があるので、普段の動きから意識をしてみましょう。
膝関節捻挫についてのまとめ
今回は膝関節捻挫についてご紹介しました。
「捻挫」と聞くと足首を思い出しがちですが、膝関節捻挫も多くみられる症状です。
膝関節捻挫は普段の動き方を改善することで予防することができますし、万が一捻挫をしてしまった場合でも落ち着いて適切な処置をすることで重症化を防ぐことができます。
万が一のときのために、頭に入れておくとよいですね。