膝に水がたまり続けると痛みや炎症症状がひどくなります。
そのため、膝に水がたまっている場合には、できるだけ早く治療を行うことが大切です。
以下では、膝に水がたまってしまった場合の治療方法について説明していきます。

膝に水がたまるとどうなる?

膝に水がたまるとどのような状態となるでしょうか?
膝関節に水がたまってしまうと、狭くなった関節腔に関節液が貯留して関節内圧がより上昇するようになります。
膝に関節液が貯留して関節内圧が上昇しているにもかかわらず、関節の運動に伴って圧力の急激な上昇と下降を繰り返すようになります。
その結果、関節滑膜組織の毛細血管は、虚血再還流障害を誘発し、関節破壊物質を産出するようになることから、膝関節部分に痛みを感じるようになります。
膝に水がたまる原因は?
膝に水がたまる原因は様々なものが考えられます。
膝に水がたまるというのは、医学的には膝の関節内に液体が貯留した状態のことです。
これは、関節水(血)症とも呼ばれます。
正常な場合、膝関節にある関節液は淡黄色透明で粘調性があり、主にヒアルロン酸やタンパク質などを含んでいます。
関節液は、関節の動きを円滑にする役割を担うとともに、関節軟骨の栄養源です。
その量はおよそ3ml〰5ml程度ですが、関節に炎症症状やその他の病的な状態が生じてしまうと、関節液が増加して60ml以上になることもあります。
関節液は、関節内の滑膜の血管から、分泌されたり吸収されたりしています。
しかし、関節に炎症などが生じると、この分泌と吸収のバランスが崩れてしまうことによって必要以上の水がたまってしまうため注意が必要です。
膝関節で炎症が起こると関節包からサイトカインという炎症を強める化学物質が放出されることからさらに炎症が悪化するようになります。
一言で膝に水がたまると言っても、膝関節に貯留する液体は一様ではありません。
むしろ、貯留する液体の性質は膝関節の炎症症状や疾患によって異なります。
外傷の場合には、関節内の骨や靭帯が損傷を受けて出血することがあるため、水ではなく血がたまる場合もあります。
いずれの場合にせよ、膝に水がたまる根本的な要因は、膝関節の中で炎症が起こってしまうことです。
水がたまるような場合には、出血して血液が溜まってしまう場合もあります。
膝の痛みと変形性関節症
膝に水がたまる代表的な原因は、変形性膝関節症によるものです。
変形性膝関節症とは、膝関節部分の軟骨が加齢にともなって弾力性を失い、使いすぎによって磨り減ってしまうことで、関節が変形してしまう疾患のことを言います。
その原因は、関節軟骨の老化によることが多く、肥満や遺伝も関与していると考えられています。
変形性膝関節症の場合、軟骨の摩耗細片による刺激や圧迫、牽引力が滑膜に加わる結果として、黄色透明で粘り気のある液体が貯留するようになります。
その他にも、関節リウマチや痛風などが原因となって膝に水がたまっている場合には、関節内における異常免疫反応や血漿が沈着することによって炎症が誘発されます。
そのため、濁った粘調度の低い液がたまってきます。
通常、その場合熱感を伴っています。
膝関節の炎症症状の原因が細菌感染によるものである場合には、膝の発赤・熱感があらわれ、発熱が生じる場合が多いです。
この場合、関節液は不透明で緑ががって、低粘調となる傾向があります。
膝に水を採取することの大切さ
関節部分の炎症が原因で膝に水がたまっている場合には、膝関節から関節液を採取して培養し、原因となっている細菌を特定することが大切です。
現在の医学では、関節液を調べるだけで疾患を診断することができる場合もあるため、膝関節の水の治療においては、関節液の検査が非常に重要な意味を持っています。
水ではなく、膝関節に血が貯留しているような場合は、外傷による出血が原因となっていることがほとんどです。
大量の関節液貯留が続いてしまうと、膝関節にある組織である関節包や靭帯が圧迫され、膝関節の可動域も制限されるようになり、痛みも伴うことから、穿刺(せんし)することによって、貯留水を排出する必要があります。
膝に水が溜まった場合の治療方法

膝に水がたまってしまった場合には、水を抜くことが必要です。
水を抜くと癖になるとよく言われますが、それには医学的根拠があるわけではありません。
水を抜く意義としては、水がたまって高くなった関節内の圧を下げることによって膝の可動域を増やす点、関節内の炎症を引き起こす化学物質や細菌、汚れを取り除く点、関節液を調べて含まれている菌や結晶から水がたまる原因を特定できる点を挙げることができます。
一度膝の関節に水がたまってしまうと、整形外科などで数回にわたって抜くということもまれではありません。
膝に水がたまった水を抜くと癖になるのではなく、抜かないといけないぐらい水がたまっていて、関節炎を起こしていると理解しておく必要があります。
膝の水を抜く方法
膝に水がたまった場合に水を抜く方法を関節穿刺(かんせつせんし)と言います。
関節穿刺をする目的は、関節包内の減圧と痛みの軽減、そして、水を採取して検査をすることです。
この時、関節穿刺は注射器によって水を抜くことになりますが、注射器に細菌が付着していた場合、関節内に細菌が侵入して化膿性関節炎を発症する恐れがあるため注意が必要です。
採取された液体は、その外観・貯留液量・粘度性・タンパク質量・白血球数・細菌の有無などを調べて原因を特定するようにします。
膝に水がたまるのは、何らかの疾患による影響を受けているからです。
そのため、原疾患を特定し、それに対する適切な治療が行われなければなりません。
したがって、膝の水を抜くという治療はあくまでも対症療法的な治療であって原疾患を治療するものではありません。
この点をきちんと理解しておくことが非常に重要です。
まとめ
膝に水がたまる原因は様々です。
しかし、膝の水を抜き、膝関節部にたまった水を抜かないと炎症症状が悪化し、痛みも増していきます。
それを治療するためには、まずは膝関節部にたまった水を抜いて、膝関節の内圧を下げると同時に、膝関節部から採取した水を検査することによって原疾患を特定することが大切です。