しかし、痛みが生じている原因によって、膝を温めたほうが効果的な場合もありますし、一方で膝を冷やした方が効果的な場合もあります。
では、膝関節に痛みが生じている場合、冷やしたほうが良いのか、あるいは、温めたほうがよいのかはどのように判断したら良いのでしょうか?
この記事では、膝を温めた方が良い場合と膝を冷やした方がよい場合についてそれぞれ説明した後で、自宅でもできる簡単な膝を温める方法について説明していきます。

膝を温める効果

捻挫、打撲、骨折などの突発的な要因で膝関節に痛みが生じているのであれば、患部を冷やした方が効果的だと考えられますが、膝関節に慢性的な重い痛みがあるのであれば、膝関節を温めることによって血行を良くした方が、痛みが改善する場合は多いです。
慢性的な膝の痛みの原因の多くは、スポーツのしすぎや加齢などを原因として、日々の膝への負担が蓄積されたものです。
慢性的な膝痛の原因は様々ですがなかなか痛みがなくならない上に、少し無理をして膝関節に負担がかかるような行動をしただけで痛みがぶり返してしまうこともあります。
そのため、膝を冷やす治療も膝を温める治療の両方を使い分けるようにする必要があります。
膝の温めると膝周辺の血行が良くなります。
血行が悪い状態だと、体は血管を広げて血流を促す物質である「プロスタグランジン」という物質が出すようになります。
疲労物質・老廃物質・痛みを出す物質が生成されるようになるため、膝関節の炎症症状が治りにくくなってしまいます。
また、血行が悪いと膝の痛みやこわばりを感じやすくなってしまいます。
このプロスタグラジンという物質は、痛みを引き起こす作用があるため膝痛が生じます。
通常、膝関節に強い痛みを感じるのは、このプロスタグランジンの作用によるものです。
あまりにも強い痛みがある場合には、このプロスタグランジンという物質の効果を弱める必要があります。
プロスタグランジンの効果を弱めるためには、温めるのではなく、膝関節周辺を冷やすようにすることが大切です。
そのため、熱や腫れがある場合、あるいは痛みが酷い場合には、まずは膝関節周辺を、アイスノンなどを使用することで冷やすようにすることが大切です。
ただし、このプロスタグランジンが作用することによって、炎症症状が回復します。
炎症症状が起きたままだと、膝の痛みの他に、熱感や腫れといった症状はなかなかおさまりません。
そのため、まずは膝を冷やして痛みや腫れをおさめた上で、その後膝を温めるようにすることが最も効果的です。
膝関節を冷やすとプロスタグランジンの作用を弱めることができるので、膝の痛みを幾分弱くすることはできますが、その分回復のための時間がかかってしまいます。
逆に、膝を温めて膝関節部分の血流がスムーズに流れるようになれば、痛みが強くなる可能性はありますが、その分早期の回復が期待できます。
まずは痛み熱感を取り除くために、膝を冷やし、痛みが引いてきたら膝関節を温めるようにして、膝周辺や下肢の血行状態を良くし、老廃物質を効果的に取り除いていくことが大切です。
さらに、膝関節周辺を温めることで、膝関節部分の筋肉や軟骨組織がほぐれるようになり、間接の動きもスムーズになります。膝関節を温める方法は、特に加齢が原因となって生じることが多い変形性関節症には非常に効果的です。
膝を温める方法

膝関節の中は、32度か33度で体温と比較するとずいぶん温度が低くなっています。
そのため、膝関節を38度から40度程度に温めると、膝関節部分にある軟骨が非常に活発に代謝を始めることがわかっています。
膝を温めるタイミングとしては、運動前や運動をしていない時が基本です。
運動を行った直後などには膝を冷やすことによってまずは炎症症状をおさめることが大切です。
膝を温めることの目的は、膝関節周辺の筋肉をリラックスさせ、血流を促すことにあります。この点をきちんと理解しておくことが大切です。
膝を温める方法は、何も医療機関に行かなければならないということはありません。
自宅でできる膝を温める方法として最も簡単なのはお風呂に入ることです。
入浴時にはゆっくりと浴槽に浸かったり、蒸しタオルを患部に当てるといった方法が最も一般的です。
膝の中心まできちんとおたためるためには、しっかりと湯船に遊弋し、20分程度入浴するのが理想的と言えます。
短時間に熱い湯に浸かるのは体に大きな負担がかかるため避けるようにすることが大切です。
また、蒸しタオルはすぐに冷めてしまうというデメリットがありますが、電子レンジでタオルを加熱するだけで簡単にできるので重宝します。
タオルを水でよく湿らせて適度に水を絞り、レンジで1分程度加熱するだけです。
温めるタオルにアロマオイルを少量含ませておくと、リラックス効果も得ることができ、より効果的に膝を温めることができます。
直接お風呂や蒸しタオルを浸かって膝を温めることも非常に重要ですが、慢性的な痛みの場合にはできるだけ膝を冷やさないようにすることも大切です。
普段からレッグウォーマーを使ったり、膝掛けを使うことによって膝が冷えるのを防ぐことができます。
電気で温める電気膝掛けも非常に効果的です。