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膝のリハビリ

2018/05/22

半月板損傷からどうやって機能を回復する?

半月板の損傷(断裂)は、スポーツ活動や仕事中に起こる膝の外傷の一つです。

半月板の損傷は、スポーツ外傷として認識されていますが、高齢者の場合、ささいな怪我や日常生活でも半月板が損傷することがあります。

しかし、半月板を損傷したからといって、絶対に手術をしなければ機能が回復しないというわけではありません。

むしろ、早期に手術治療による機能回復が必要となるのは、膝関節の痛みに加えて半月板のひっかかり(キャッチング症状)で、膝が動かない(ロッキング症状)がある場合だけです。

半月板は、膝関節の運動のために欠かせない組織であり、靱帯や関節を構成する骨と連携してスムーズな関節運動機能と衝撃緩衝機能を果たしています。

そのため、半月板を損傷すると関節運動機能と衝撃緩衝機能が果たせなくなることで様々な障害が起こるようになります。

半月板損傷からこの機能を回復するための現在の治療方法は、手術ではなくむしろ保存的療法が主流です。

その理由は、半月板を手術によって切除してしまうと程度の差こそあれ必ず将来的に関節軟骨に問題が生じてしまうからです。

以下では、半月板損傷からどうやって半月板の機能を回復するのか、「保存的療法を実施した場合の機能回復プロセス」と「手術治療を実施した場合の機能回復プロセス」に分けて説明していきます。

その上で、「半月板損傷に対するリハビリによる機能回復」プロセスについても説明します。
jointcare編集部 jointcare編集部

ジョイントケア編集部

半月板損傷に対する保存的療法による機能回復プロセス

膝のリハビリ

半月板損傷に対する保存的療法半月板の温存(保存)を目的とした治療方法です。

膝の痛みを軽減して、日常生活やスポーツ活動における支障を取り除きます。

半月板は、膝の軟骨にかかるストレスを減らす重要な役割を担っています。

そのため、半月板を切除してしまうと、半月板切除後に程度の差はあれ、膝関節や膝の軟骨に負担をかけることを避けられません。

そのため、現在では、半月板損傷から機能を回復させる治療方法として保存的療法による治療が一般的です。

専門医による診断の結果、半月板の外縁に剥離が確認できる場合や、関節包からの血流が得られる外縁近くに半月板の損傷がある場合には自然回復の可能性があるため、専用装具などによって膝関節を固定して、まずは様子をみるようにします。

また、半月板の損傷が軽度であれば、サポーター(装具)やテーピングなどの補助・補強、疼痛軽減目的での投薬やリハビリテーションが行われます。

半月板損傷の症状、およびMRIによる検査の結果、軽症と診断され、特に血流がある箇所に断裂が生じているような場合には、保存的療法が特に有効です。

保存的療法には様々な方法があり、複数の方法を組み合わせた治療がなされることが一般的です。

より具体的にはアイシング・湿布・温熱療法・ヒアルロン酸注射などが行われています。

アイシングはスポーツ活動の跡や膝が炎症を起こしている場合に有効です。

膝が熱を持っていると痛みが増すため、アイシングによって膝を冷やすことで痛みを抑えます。

ただし、アイシングは半月板損傷を根治するための治療方法ではないため、軽症の場合にのみ有効であることをきちんと認識しておくことが必要です。

アイシングと同じく、湿布による治療も消炎鎮痛作用を得られます。

整形外科や整骨院など専門の設備が整っている場所では、低周波や赤外線を発する機器を使った保存的療法も行われています。

この治療の目的は、患部を温めて膝周りの筋肉を柔軟にしたり、血行を良くすることです。

これによって痛みを緩和し、血流を増加させることによって半月板の自然治癒能力高め早期回復が期待できます。

保存的療法におけるリハビリでは、手術後のリハビリと同様に、膝動揺性抑制装具(サポーター)を装着して、早期から膝に痛みが起こらない範囲で可動域訓練を行い、膝周りの筋力低下を最小限に留めるようにすることが目的です。

半月板損傷に対する保存療法による機能回復プロセスにおいては、専用装具を使って6〰8週間程度膝を固定し、固定を除去した後もサポーターやテーピングなどの簡易装具で経過を観察します。

保存療法による半月板の機能回復までには通常3ヶ月以上の期間が必要となるため、長期的な治療が必要であることをきちんと認識する必要があります。

半月板損傷に対する手術治療による機能回復プロセス

膝の手術

保存的療法で症状が改善しない場合や、半月板の損傷部位がひっかかって膝が動かないといった症状が現れている場合には手術治療が行われます。

ただし、安易に手術治療を選択すべきではなく、まずは保存的療法で治療が可能かどうかを確認することが大切です。

特に、半月板は膝にかかる衝撃を分散するという重要な機能があるため、切除範囲はできるだけ最小限にして、全切除は避けるべきです。

手術治療の数日前には、血液検査や抗生物質に関するアレルギーテストなどが行われています。

また、半月板損傷の状態を確認するために、MRIによる検査も行われます。

半月板はレントゲンには映らないため、レントゲンによる検査がなされることは通常ありません。

MRIによる診断率は80〰90%とも言われており、MRIによる検査であれば合併症として靭帯損傷がないかまで評価することができます。

検査を終えた後、半月板損傷に対する手術治療は関節鏡(内視鏡)を使って行われます。

関節鏡を使った手術では、細い内視鏡を関節の中に挿入し、検査や治療を行っていきます。

あけた穴から細い関節鏡や手術器具を挿入して手術を行います。

関節鏡には棒状の構成のカメラがついているため、モニターを通して半月板の状態を確認しながら適切な治療を行えるようになっています。

関節鏡を使った手術治療は、膝の前方2、3箇所に小さな穴(5mm程度)をあけるだけであるため、体に対する負担が少ないことが特徴です。

そのおかげで、手術に伴う入院日数が少なくてすむというメリットがあります。

さらに、モニターを見ながら治療箇所の様子をみることができるので、事前のMRI検査よりもさらに正確な診断が可能です。

半月板損傷の手術治療の方法としては、2つの方法が考えられます。

半月板切除術半月板縫合術の2種類です。

半月板の損傷が関節中央に近いところや癒合困難な場所にある場合、その部分を縁取るように切除していくのが半月板切除術です。

半月板を切除した箇所については再生しないため、切除した箇所の関節軟骨に対するストレスが大きくなったり、関節軟骨の変性が進行して、関節症となる恐れがあります。

しかし、半月板切除術であれば術後翌日から歩行することも可能で、膝の屈伸は特に制限もなく術後から行うことが可能です。

入院は最短で術前・手術・術後2日程度の入院の合計4日程度で退院できます。

一方、半月板辺縁の血流のよいところに損傷がある場合、半月板縫合術による手術が可能です。

半月板縫合術で手術を行えば、断裂部が癒合し回復すれば、もとの半月板と同様の機能が期待できます。

そのため、膝の関節軟骨にストレスがかからないというメリットがあります。

ただし、半月板縫合術はすべての半月板損傷に対して適用できる手術ではなく、半月板が癒合するまでにおよそ6週間程度の長い期間を要するため注意が必要です。

また、術後2週間程度は脚を床につけることもできないため、2週間程度の入院が必要となります。

半月板損傷に対して手術治療を行えば、手術後1週間程度で日常生活に支障がない程度までは回復することができます。

しかし、スポーツ活動に復帰するまでの期間としては、半月板切除術を用いた手術治療の場合だと2〜3ヶ月程度の期間が必要であり、縫合術の場合には術後4〜6ヶ月のリハビリが必要です。

半月板損傷前後のリハビリによる症状の改善

膝の診察子供

半月板損傷はスポーツ活動時などに起こる急性のケガが原因であることが多いため、完全に予防することは不可能です。

しかし、運動前後のストレッチをしっかりと行うことによってスポーツ活動時の膝の負担を軽減すれば、損傷の可能性を低くすることができます。

半月板損傷が起こる原因の一つとしては、膝周辺の筋肉が固いことが挙げられます。

そのため、半月板への負担を軽減するために、膝周辺の筋肉を鍛え、柔軟性を高めることが非常に重要です。

そのため、リハビリの前後には必ずストレッチを行い、筋肉を柔軟にして症状の悪化や再発を防ぐ必要があります。

特に、半月板を損傷するとおよそ2週間後には約15%、1ヶ月には30〰50%の筋力が低下すると考えられています。

その理由は、半月板損傷後はギブスによる固定などによって大腿筋が萎縮したり、無意識のうちに損傷箇所を逆足の筋肉が補ってしまうからです。

そのため、半月板損傷後のリハビリでは、ストレッチで筋肉の柔軟性を高めるだけではなく、筋力そのものの向上も必要となります。

手術後のリハビリとしては、膝の筋肉を協会して膝への負担を軽減する筋力強化や膝関節の可動域を広げる可動域訓練を行うことが一般的です。

リハビリテーションでは、まず損傷による炎症症状抑えることと膝の正常な屈伸運動および筋力を確保することが行われます。

リハビリを行う際にはサポーターを使用することが大切です。

サポーターを使用すれば、膝をしっかりと固定することができるため痛みを緩和することができ、膝関節への負担を軽減することができます。

サポーターにも様々な種類のものが販売されているため、膝の捻りを抑える効果が期待できるサポーターを選ぶことが大切です。

半月板切除術を行った後の機能回復プロセスとして、術後1ヶ月までは、痛みのない範囲で脚に体重をかける訓練(荷重トレーニング)や関節を動かす訓練(関節可動域トレーニング)を実施します。

訓練の目的は、術後に起こる炎症症状をできるだけ早く鎮め、正常な歩行が可能になることです。

また、術後1週間までの間に、患部以外の筋力トレーニングや膝への負担が少ない膝周辺の筋力強化トレーニングを実施します。

手術後1〜2日で体重を部分的にかける訓練をはじめ、1ヶ月以内ですべての体重がかけられるように訓練します。

半月板縫合術による手術を受けた場合には、手術後1週間程度経過してから体重をかけはじめ、2週間後に全体重をかけられるようにします。

訓練時には、膝固定の装具を着用して行うとスムーズなトレーニングが可能です。

その後、術後1ヶ月〰2ヶ月までの期間には、術後の炎症症状の様子をみながら、徐々にスクワットやランジなど、脚に体重をかけ負担を増やした状態でトレーニングを行っていきます。

術後2ヶ月から3ヶ月までの期間には、ジョギングやスポーツ活動などを装填した基礎的な動作トレーニングを実施します。

スポーツ活動において高いパフォーマンスを発揮できるように、ジャンプやダッシュのトレーニングに加えて、アジリティ(切り返し)などのトレーニングも実していきます。